息子のオープンキャンパス付き添いで今回は豊橋に来た。
今年は我々夫婦が大学の構内に足を下ろさないので
付き添いではなく単なる送迎である。


暇潰しに、豊橋の"JAZZ喫茶"で検索するとHITするのは"ぐろった"である。
去年来た時に訪問したところお休みだった。


そこで今年は、息子を降ろしてすぐに電話してみたが、つながらなかった。
ちなみに10時過ぎの事である。開店時間が遅いのかも・・・・


豊橋までは3時間半かけてやってきたのだが、
さらに1時間かけて浜松へ向かう事にした。
残念ながら嫁の好きそうな温泉は豊橋近傍では見つけられなかったので、
嫁も同行。


新幹線”ひかり号”が1時間に1本程度止まるし、
ヤマハ楽器の城下町である。上原ひろみがここの出身。
浜松まで行けばJAZZ喫茶のひとつやふたつはあるだろう・・・・・


検索ではJAZZ ANALOGというお店がHITするが、
どうやら夜だけのお店のようである。
携帯で検索して、昼間に珈琲を飲ませそうな店をなんとか3件ピックアップできた。


JAZZ in B♭(ビーフラット)
まずは1件目。浜松市の北方の静かな住宅街にあるお店。
ライブハウスであり、珈琲紅茶の専門店らしい。

嫁とテーブル席に座り、珈琲を注文。
カウンター越しに珈琲ミルが見える。
珈琲を飲ませる事については本格的。

肝心の珈琲の味は、薄く、
高温のお湯で点てるので香りが死んでしまっている。


さらに、私にとってはもっと肝心の音であるが、


この天井から吊り下げられたスピーカーより、
カウンターでしゃべっている紳士2人の会話の方が
音が大きいという有様。評価の対象外である。
そそくさと退散した。
ライブに力を入れたお店のようである。


特記事項として、ここには"JAZZ PERSPECTIVE"という
雑誌が置かれていた。月刊ではなく、不定期に発売されているようだ。
私は今まで目にした事がなかった雑誌である。
まず、紙質、写真の質が高い。
パラパラと読んでみると、30数年前に死んでしまったSJ誌の生前の趣がある。
読者迎合(のつもりのようだががそうなっていない)、業界迎合ではなく、
自分なりのJAZZへの思い入れに重心を置いて書かれた記事が多いように思えた。


ハァーミットドルフィン
浜松市内に移動。駐車料金100円/hのコインパーキングに車を入れる。
浜松は新幹線ひかり号も時々止まるほどの都会なのに、駐車料金が安い!!
岐阜のFamous Door横のコインパーキングは400円/hだった。

お店は雑居ビルの2Fにある。
入ると薄暗くテーブル席とカウンター席には仕切りがあり、
段差もある。
テーブル席の方が落ち着く感じだがスピーカーがカウンター内に置かれているので
カウンターに着席。


ご夫婦でお店を営まれているとお見受けした。
カレーのランチはなかなかのお味。

ご本尊様はJBL4344。アンプはビクターのプリアンプに、
パワーアンプはひょっとしてマークレビンソン?
不勉強でわかりません。

お昼休みの時間だからか、ボサノバが静かに流れています。



嫁の印象ですが、
「さっきのお店(B♭)よりかなりいいんちゃうの?」らしい。


さっきの店では音が小さかったのと、雑誌が面白くて
音楽を聴かなかったので私にはその比較はできない。


この店について私が言えるのは、腐ってもJBL4wayである。
分解能が高い。


ただし、置いているだけ、という佇まい。
凝ったシステムではない。元の値段の高さを、
音の評価に入れません私は。


たまにはケーブルの掃除でもしていただきたい。
音の鮮度がかなり低い。


ランチのカレーを美味しくいたたいて、はい次。


トゥルネラパージュ
本日の大本命。
美味しい飲み物を飲みながら読書をするなら
このお店はすばらしい環境を提供してくれる、と最初に書いておきます。
もちろん素敵な音でJAZZを聴きながら。



店主は今年で35歳という若い女性。
2006年にかの寺島氏により紹介された雑誌掲載記事がHPから見れる。


ご本尊様は、

アヴァンギャルド、というドイツの会社の製品らしい。

上述の記事(SJ、ANALOG)によれば、ウーファー1つで200万するらしく、
合計で1800万ほどのシステムらしい。らしい、らしいで申し訳ない。


店は、このスピーカーに合わせてしつらえたような広さ、高さ。
特に天井が高くて、スピーカーの裏側がレンガという構成は、古処に似ている。
写真に写っていないのだが、スピーカーの上方にはスクリーンが張られ
無声映画が映されている。嫁はそれをみて、最初はクックックぐらいだったが、
最後は口を開けて笑い出した。


さて、肝心の音である。


歪感の少ない、耳あたりの良い音である。
ただし、この大きさで、このスケールの大きさかよ?という、普通の音。
すっと、耳から心に染み渡る。
でも、
もう少し高音を持ち上げた方が本物ぽくない?
シンバルが頭にズキズキする感じで迫ってくる方が本物っぽいけどなぁ。

最近、私も調整を怠っているのであまり生意気な事を書かないが、
ベイシーの炊立飯の艶を持った音や、
絵筆のタッチを残した油絵のように荒々しい音を出すPARAGONを
スタジオモニターのように鳴らす古処の努力を思い返すと、
ふーんで終わってしまう。


店の造り、調度品に全く手抜かりがない。
澄んだ空気感が心地よい。
美味しい紅茶を飲みつくして映画に集中しだした嫁の口が
塞がらないので、居づらくなり、
後ろ髪を引かれる思いでよいそらと店を出ることにした。
JAZZ喫茶で声出して笑う客なんかおらんのやぞ、嫁!